地域通貨とは

NTT労組機関誌『あけぼの』2003年2月号<経済・産業> 地域通貨とは
地域コミュニティの再生へ
心のふれあう助け合いの通貨

往年のNHK名作人形劇「ひょっこりひょうたん島」が近々リバイバルするそうだ。懐かしいなあと思って,情報を探ろうとネットで検索してみたら,ひょんなものに出くわした。いわく,ガバチョ・マネー研究会。何だろうと思ったら,札幌で地域通貨「ガバチョ」をツールにボランティア市民運動を展開している団体だった。そういえば,「ひょっこりひょうたん島」を見て育った世代がよくご存じのドン・ガバチョ大統領は,ひょうたん島に独自通貨「ガバス」を導入した。これは,今風にいえば地域通貨のはしりだったというわけで,会の名称になったそうだ。なるほど。当時,ひょうたん島の通貨ガバスの導入は,資本主義体制に対する批判とも読めるという議論が盛り上がったのを思い出す。事実,ガバスの説明には資本論貨幣論をふまえているらしい形跡があった。
家族や親類縁者あるいは地域共同体など,伝統的なコミュニティーの中での暮らしは,お互いに助け,助けられる関係を基本に営まれてきた。助け合い行為やモノの贈答などの,貨幣に媒介されない互酬的関係が,市場経済以前の人間の経済活動の内実であり,そこでは経済は社会の中に埋め込まれていたといえる。
地域通貨」は,こうした互いに助け合い,支えあう互酬的関係によるモノやサービスの交換を,時間や点数,あるいは地域やグループ独自の紙券としての通貨に置き換え,これを媒介に助け合いサービスやモノの贈答などの交換行為を循環させようとする試みである。市場経済のなかで崩壊に瀕している地域コミュニティーを「もうひとつのお金」によって再生しようとする運動と捉えることもできる。


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