2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

みんなで織りなす豊かな時間

『JP総研 Research』Vol.10, 2010年6月号みんなで織りなす豊かな時間 ―個人の時間、家族の時間、社会の時間鈴木 不二一人生を生きる時間は誰にでも平等だ。1日は24時間、1年は365日、そして人生80年とすれば、生涯生活時間は約70万時間。生きられる時間に限…

こどもの時間、家族の時間、社会の時間

『統計』2006年7月号 〜特集 平成18年社会生活基本調査を迎えて〜こどもの時間、家族の時間、社会の時間鈴木 不二一ここでは、「社会生活基本調査」のデータからうかがえる「こどもの生活時間」について考えてみたい。具体的には、「10〜14歳」の年齢階級の…

種田山頭火と労研饅頭

漂泊の俳人種田山頭火は1939(昭和14)に四国遍路に出ますが、同年12月15日、松山市の「一草庵」に居を構え、翌1940(昭和15)年10月11日に脳溢血のため59歳でこの世を去るまで、ここで暮らしました。元々この一草庵は、宇和島市出身の映画監督・伊藤大輔(1898〜1…

犬も歩けば労働に当たる 第13回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第13回(2010年8月号) いまコールセンターが熱い 失われたモノとヒトとの絆を取り戻せるのか紀州田辺(南方熊楠の在所ですね)を舞台に昔堅気の電器屋の頑固おやじと娘たちの家族愛を描いた『幸福のスイッチ』(…

日本経済の『ロングバケーション』は終わった

(『DIO』No.106, 1997年8月) 日本経済の『ロングバケーション』は終わったどうも今年に入ってからのテレビ番組は、ドラマもCMもさえない。定番メニュー的性格が強く、あまり世の中の動きを反映しないNHKの朝ドラ、大河ドラマを除くと、視聴率30%の大…

〈視点〉個人別交渉と団体交渉

(『DIO』No.101, 1997年3月)〈視点〉個人別交渉と団体交渉団体交渉とは、いうまでもなく、団体で行う交渉ではない。労働者が自ら選んだ代表が、労働者の集合的意思(collectivewill)を代表して、使用者あるいはその団体と雇用・労働条件に…

企業の中に社会の目を

(『DIO』No.230, 2008.09.01)<視点> 企業の中に社会の目を「日本の企業はリスクをとっていない、もっとリスクをとって株主に奉仕せよ」という声が、ますます高まりつつある。対日投資促進のためには、多様な展開をみせるM&Aの活発化が不可欠であり、…

コールセンターの雇用・労働問題

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年7・8月号 コールセンターの雇用・労働問題グローバル化とめまぐるしい情報技術の発展を受け、新しい労働世界の象徴として注目されているコールセンターだが、その注目は、光の部分だけでなく、むしろ労働者の立場から見れ…

鈴木不二一主要著作目録(発表年月日順)

年/月 標題 1978 6月 電通共闘における賃金実態調査とモデル賃金調査,『労働調査』No.130,pp.45〜56. 1981 11月 春闘方式の機能変化と今日の課題―失われた上位平準・格差縮小の力学,『賃金実務』No.451(1981.11.15),pp.9〜13. 1982 2月 生活賃金の論理…

河西宏祐著『電産の興亡(一九四六年〜一九五六年)』

(『日本労働研究雑誌』No. 567/October 2007、pp.116-120) 鈴木不二一 河西宏祐著『電産の興亡(一九四六年〜一九五六年) 電産型賃金と産業別組合』、早稲田大学出版部 2007 年3 月刊 A5 判・470 頁・6825 円(税込)かつて, 日本の労働組合が, まぶしいほどの輝…

「景気」という言葉のルーツ

「景気」という言葉は、和歌、連歌や俳諧の中で、景色の気配の意味で使われた。たとえば、方丈記に「山中のけいき、折につけて尽くる事なし」とあり、また平家物語巻七では「此島の景気を見給ふに、心も詞も及ばれず」と使われている。その後、転じて、元気…

ド・アップ代助

2010年3月14日撮影

あくび代助

2009年6月30日撮影名前:代助 猫種:アメリカン・ショートヘア 性別:男 年齢:8歳

『天地明察』、『算法少女』と和算の草の根

冲方丁『天地明察』、2009年11月30日発売、定価1890円(税込)、角川書店発行 遠藤 寛子『算法少女』(ちくま学芸文庫)、定価945円(税込)2010年本屋対象を受賞した冲方丁『天地明察』は本当に楽しめる傑作だった。碁打ちにして天文暦学者、和算家の渋川春海…

犬も歩けば労働に当たる 第12回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第12回(2010年7月号) 十人十色の幸せだけど、みんなで探さなきゃ意昧がないトルストイ『アンナ・カレーニナ』の冒頭は「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」…

犬も歩けば労働に当たる 第11回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第11回(2010年6月号) 警察ドラマにみる当世勤労者の悩みと心情最近テレビドラマを観ていて感じることのひとつに、ジャンルの大きな変化がある。ホームドラマがほとんどなくなった。1980年代後半に流行ったト…

犬も歩けば労働に当たる 第10回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第10回(2010年5月号) 通信教育CMにみる当世職業事情石川啄木は、死の前年の1911年6月、11編の詩を一気呵成に書き上げ、そのうち8編を詩集『呼子と口笛』として上梓する予定でノートに浄書した。その掉尾を飾…

犬も歩けば労働に当たる 第9回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第9回(2010年4月号) 鉄道労働者と蒸気機関車は当局の意図を離れて生き残った前回の終わりに、「映画とは、製作者の意図を超えていろいろなものを映し出す鏡なのだ」と書いた。今回はその続き。 映画は、初期…

犬も歩けば労働に当たる 第8回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第8回(2010年3月号) 『アバター』のナヴィ族はどのような労働と余暇を過ごしているのか『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督が、構想14年、製作期間4年以上を費やした大作『アバター』が、昨年暮れ…

犬も歩けば労働に当たる 第7回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第7回(2010年2月号) 「地見屋」って、知ってる?−職業の世界は、限りなく広く、かつ深い!職業の世界は実に多様である。「エッ!そんな仕事もあったの!?」と驚かされる珍商売、珍職業の類に事欠かない。そん…

犬も歩けば労働に当たる 第6回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第6回(2010年1月号) 気になる言葉「○○屋」−「企業を超えた職業的連帯の可能性職業生活の中で永い間に培われてきた独特の言い回しや表現法には、よくよく考えてみると非常に深い意味が込められているのではな…

犬も歩けば労働に当たる 第5回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第5回(2009年11月号) 「労」と「研」のつく饅頭は、「結合の力」の味がした 「労研饅頭」をご存じだろうか。松山市の菓子店「たけうち」が製造販売する蒸しパン風の菓子で「ろうけんまんとう」と読む。地元の…

犬も歩けば労働に当たる 第4回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第4回(2009年10月号) 現代日本の労働は海の外でどのように映っているのかいつのまにか「やまがた」が映画界のブランドになっていた。アカデミー賞をとった『おくりびと』をはじめ『たそがれ清兵衛』『わらび…

犬も歩けば労働に当たる 第3回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第3回(2009年9月号) 電脳ウサギは「つくりびと」の夢を紡げるか モノづくりによって新しくモノが創り出されることには、心ときめく感動がある。創り出される対象はなにも物質的なモノに限らない。有形無形を…

犬も歩けば労働に当たる 第2回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第2回(2009年8月号) 椎名林檎の新感覚派的「労働者」の可能性「労働」とか「働く」とかいうことは、ほとんど「生きる」ということとイコールの、人間にとって本質的な事柄だ。だから,我々は生きている限り、…

犬も歩けば労働に当たる 第1回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第1回(2009年7月号) 真実りんよ、職業人(プロ)として輝け!日々見聞きする身辺些事を通して、労働の今とこれからを考えていきたい。神と同様、いや神以上に、労働の本質は細部に宿っているのだ。街を歩き、…

労働映画上映会について

これまでに、多くの有名・無名の映像作家たちが、日本の労働を記録した貴重な映像を残してくれています。けれども、それらを体系的に上映し、考察し、今日への示唆を探る作業は、これまで必ずしも十分に行われてきませんでした。わたしたちは、労働研究と映…

大衆文化の中の労働組合イメージ

連合総研『DIO』217号、2007年6月 大衆文化の中の労働組合イメージアカデミー賞の季節が終わるとトニー賞の季節がやってくる。最優秀ミュージカルの栄冠を手にするのはどの作品か?今年のノミネーション発表は5月15日、本番は6月10日。アメリカン・エンタテ…

はてしなきリストラの後に

『月刊・連合』2001年9月号、連合総研短信右を向いても、左をみても、とんと明るい話題のない今日この頃。テレビの報道番組も苦慮しているらしい。最近の日曜日の夜、やたら「衝撃」続きの事件ばかりで、いいかげんウンザリしていたところ、視聴者の気分転換…

「IT革命」に惑わされないために

『月刊・連合』2001年2月号、連合総研短信昨年の流行語大賞は、「IT革命」と「おっはー」だった。慎吾ママが流行らせた後者は、流行語の音韻法則にもかなっているし、明るいばかばかしさがあるからまだいいにしても、「IT革命」となると、何年も前から使われ…