犬も歩けば労働に当たる 第10回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第10回(2010年5月号) 
通信教育CMにみる当世職業事情

石川啄木は、死の前年の1911年6月、11編の詩を一気呵成に書き上げ、そのうち8編を詩集『呼子と口笛』として上梓する予定でノートに浄書した。その掉尾を飾る「飛行機」の一節に曰く、「給仕づとめの少年が/たまに非番の日曜日、/肺病やみの母親とたった二人の家にゐて、/ひとりせっせとリイダアの独学をする眼の疲れ……」。
筆者は、この一節を読むたびに目頭が熱くなるのを禁じ得なかった。嗚呼、わが祖先たちの、なんと健気で、向学心に燃えていたことよ。
さて、啄木が「飛行機」を書いてから100年余りが経過して、あいかわらず今も通信教育は盛んである。公的部門や企業が職業訓練からじりじりと後退し、その分だけ自己責任による能力開発が強調されるようになった昨今では、通信教育業界もまたマーケット伸張の機会に遭遇しているかにみえる。

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