地球規模で拡大する所得格差

最近、所得格差に関する注目すべき報告書、研究書、あるいは雑誌の特集記事が続々と発刊されています。例えば: World Bank(2005). World Development Report 2006: Equity and Development OECD(2011). Divided We Stand Asian Development Bank(2012) Asia…

第二次グルメ・ブームの裏

NTT労組機関誌『あけぼの』2012年4月号 第二次グルメ・ブームの裏 いま、第2次グルメ・ブームが起きているという。今年1〜3月のTVドラマでは「ハングリー!」「孤独のグルメ」と2本のグルメ・ドラマが放映された。直接、グルメをテーマにしていなくても、食…

「散策・労働の小径」第4回(『ひろばユニオン』2012年4月号) 貴重な記録 映画の中の労働 映画がこの世に誕生したのは、いまから約120年前。それは「労働映画」だった。今回は今年のアカデミー賞受賞作品『ヒューゴの不思議な発明』を切り口に、映画と…

高齢者世代の消費へのインパクト

NTT労組機関誌『あけぼの』2012年3月号 高齢者世代の消費へのインパクト 『平成23年版高齢社会白書』によれば、65歳以上の高齢人口と現役世代(15〜64歳の生産年齢人口)の比率は、2010年時点で2.8,2055年には1.3にまで低下すると予測されている。1人の高齢…

農業へのまなざしの変化と産業の未来

国際労働財団(JILAF)のメールマガジン掲載の「産業・労働ウォッチング」連載第2回です。今回は農業をとりあげました。 「農業へのまなざしの変化と産業の未来」(JILAFメールマガジンNo.112、2012年3月5日)

工場を飛び出すロボットたち

国際労働財団(JILAF)のメールマガジンに月2回ほど産業・労働ウォッチングの記事を書くことになりました。第1回は下記のとおりです。 「工場を飛び出すロボットたち」(JILAFメールマガジンNo.110、2012年2月29日)

派遣 vs 正社員? 時代映すCM

「散策・労働の小径」第3回(『ひろばユニオン』2012年3月号) 派遣 vs 正社員? 時代映すCM 派遣会社のCMが受けている。登場するのは、人気女優と、誰もが知っているアニメキャラ。ふり返れば、労働市場ビジネスのCMが本格的なスタートを切ったのは…

近未来のロボット活用社会

NTT労組機関誌『あけぼの』2012年2月号 近未来のロボット活用社会 年明け早々に封切った矢口史靖監督の『ロボジー』が快進撃を続けている。4週連続で独走していた『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』から首位を奪って初登場1位,士・日の…

人気ドラマ 主役は「家政婦」

『ひろばユニオン』連載「散策・労働の小径」第2回(2012年2月号)人気ドラマ 主役は「家政婦」 40%の視聴率を稼いだ人気ドラマ『家政婦のミタ』。この家政婦という職業なぜドラマで多用されるのだろう。いま家政婦として働く人は2万人弱と少ないが、その職…

幸せとは

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年12月号 幸せとは 鋳物の街・川口を舞台とする青春ドラマ『キューポラのある街』の最後の方で、主人公の女子中学生を演じる吉永小百合が、今でもグッとくる決めぜりふを言う。「一人が五歩進むよりも、十人が一歩ずつでも前に…

歌は世につれ労働につれ

「ひろばユニオン」連載「散策・労働の小径」第1回(2012年1月号) 歌は世につれ労働につれ 労働は、誰にとっても身近な営みだ。何も小難しい理屈やお説教の世話になる必要はない。等身大の思考こそがふさわしい。ということで,筆のおもむくままのおしゃべり…

アメリカにおける富裕階層への富の集中について

アメリカにおける富裕階層への富の集中について [メールマガジン「オルタ」96号(2011.12.20)掲載稿の改訂版] ───────────────────────────────── 多民族国家アメリカはもともと多様な国であった。極論する人は、天国もあれば地獄もあり、アメリカン・ドリ…

アメリカで広がる所得格差

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年11月号アメリカで広がる所得格差 ニューヨークはアメリカン・ドリームの象徴のような街だ。全米から,そして世界中から,人々は夢を抱いて,この地にやってきた。ニューヨーク在住日本人向けの,あるタウン誌の題名は,ドン…

格差拡大と雇用の二極化

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年10月号格差拡大と雇用の二極化 所得分配が平等化するパターンはいくつかのルートが考えられる。一つは、「貧困の平等」である。誰でもが等しく,平等に貧乏になる。国破れて,山河のみが残り,生活の荒廃が全士を覆うような…

ハルーン・ファロッキ『労働者は工場を去って行く』(1995)

リュミエール兄弟『工場の出口』上映から100年後の1995年に,ドイツのハルーン・ファロッキ監督は,『労働者は工場を去って行く』(Arbeiter verlassen die Fabrik)を世に問いました。この映画は,『工場の出口』へのオマージュともいえる作品で,冒頭と最…

年をとっても生産性が落ちるとはかぎらない

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年9月号年をとっても生産性が落ちるとはかぎらない「高齢者は相対的に生産性が低い」と、しばしば考えられている。しばしばどころか、ほとんど固定観念と言ってもよい。そこで,高齢化にはどうしても暗いイメージがつきまとう…

最初の映画は労働映画だった(補足)

リュミエール兄弟の『工場の出口』は,映画における「演出」のはじまりという点でも注目されてきました。労働映画との関連では,次の記事(抜粋)が興味深い論点を指摘しています。 1.ペドロ・コスタ監督 映画美学校短期集中講義(2004/3/12〜14) ポルトガ…

最初の映画は労働映画だった

1895年12月28日,パリのグラン・カフェでのシネマトグラフ興業のポスター 映画を最初に発明したのは誰か,については諸説があります。単純に時期の点でいえば,1891年のエジソンによる「キネトスコープ」に軍配があがるでしょう。けれども,これは覗きからく…

初期労働映画4編

Youtubeでみつけた最初期の労働映画4編を紹介します。最小限の見出しだけつけておきましたが,いずれも暫定的なものです。労働史の専門家の詳しい説明がほしいところです。お気づきの点,コメント欄にご記入いただけたら幸甚です。 1.リュミエール兄弟 「…

「平成23年度社会生活基本調査」を応援します

日本が誇る社会統計調査のひとつ「社会生活基本調査」は,わたしたちが1日の中で,「いつ,どこで,誰と,何を」行なったかを克明に記録し,過去1年間に行なったさまざまな活動についても詳細に調べている,素晴らしい統計です。今年は5年に一度の調査年に…

経済社会「新生」への課題

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年8月号 経済社会「新生」への課題 「良い暮らし指標(Better Life Index)」は,OECD (経済協力開発機構)創立50周年記念プロジエクトの柱の一つだ。所得,雇用,教育,環境などの幅広い生活分野を対象に,人々の暮らしの質を総…

日本の科学技術リテラシー

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年7月号日本の科学技術リテラシー 近年、科学技術と社会の関係を問い直す動きが活発である。1999年の「世界科学会議(ブタペスト会議)」が「社会における科学、社会のための科学」という理念を表明したことは画期的だ。その理念…

日本の労働組合の動向と課題(英文プレゼン資料)

日本の労働組合の動向と課題(英文プレゼン資料) Current Developments and Future Challenges of the Trade Unions in JapanTrade_Unions_in_Japan.pdf presented at the Program on Industrial Relations and Human Resource Management, July 4, 2011, o…

転換期の価値意識:競争と協調の両立への模索

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年6月号 転換期の価値意識:競争と協調の両立への模索 日本列島は今、周期的におとずれる「大地動乱の時代」(地震学者・石橋克彦氏の言葉)に入っていることがほぼ確実のようだ。「東日本大震災」は、地震学者の多くがかねてよ…

市場経済と資本主義の“毒抜き”

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年5月号市場経済と資本主義の“毒抜き”Globescan社が発表した国際世論調査の結果は興味深い。「自由市場経済は最善のシステムか」との設問ヘの回答結果は、国による違いこそあれ、総じて自由市場経済ヘの信認の揺らぎを示す。ハ…

蔓延する官公労組たたきの危険性

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年3・4月合併号蔓延する官公労組たたきの危険性:「新しい公共」の創出こそが急務 保守派の巻き返しに揺れる米国政局。保守系知事による公務員労組を標的とした反組合攻勢が米国労働界を震掘させている。ウィスコンシン州スコ…

「スト資金」(特集:あの議論はどこへいった)『日本労働研究雑誌』2011年4月号掲載

3月25日発行の『日本労働研究雑誌』2011年4月号,「特集:あの議論はどこへいった」に,次の記事を書きました。 ○スト資金─「新しい現実」の中で古い議論の再生を 鈴木不二一 「過去において研究の蓄積があったテーマについての議論を振り返り、その現在的意…

代助とスノーウィの近況

スノーウィ:地震,怖かったヨー。 (2011年3月19日撮影) 代助:落ち着け! (2011年3月19日撮影)

オンブバッタ異変

オンブバッタ異変マンションの半地下にある庭に鉢植えやらプランターを置いてささやかな植物栽培をしている。シソを植えたプランターに,あるときオンブバッタ Atractomorpha lata> が棲息するようになった。わが家の大事な客人である。彼等は,11月末から12…

資金余剰の使い道

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年2月号資金余剰の使い道 若者は就職氷河期に泣き、壮年者は賃下げ・リストラの恐怖におびえ、高齢者は福祉の薄情さを嘆く。一億総下向き社会の中で、唯一、企業の資金余剰のみが右肩上がりに推移している。1998年以来急拡大し…