蔓延する官公労組たたきの危険性

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年3・4月合併号

蔓延する官公労組たたきの危険性:「新しい公共」の創出こそが急務


保守派の巻き返しに揺れる米国政局。保守系知事による公務員労組を標的とした反組合攻勢が米国労働界を震掘させている。ウィスコンシン州スコット・ウォーカー知事をはじめ,共和党系知事による財政再建に名を借りた反組合的法案提出が相次ぐ。ウォーカー知事は「州財政再建のためと同時に州職員の雇用を守る不可欠の措置」と主張する。しかし,その主目的が組合潰しなのは明白だ。


アメリカに限らず,怠惰な官公労働者が特権をむさぼっていることが財政赤字の元凶であるとする議論が,いま世界中で蔓延しつつある。雲の上の特権階級には手を出せないけれども,少し恵まれた隣人への妬みには,ついつい動かされやすいものだ。けれども,こうした人間心理の弱さをついたデマゴーグの虚言に乗せられてはならない。公共サービスの質を維持向上ささせ,「新しい公共」の創出をめざす運動の地平の中にこそ,真の解決策を模索すべきである。


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ウィスコンシン州議会議事堂を占拠する反労組法案抗議行動デモ隊(2011年2月24日)


ウィスコンシン州議会議事堂を取り囲む抗議行動参加者たち(2011年2月26日)