経済産業動向

第二次グルメ・ブームの裏

NTT労組機関誌『あけぼの』2012年4月号 第二次グルメ・ブームの裏 いま、第2次グルメ・ブームが起きているという。今年1〜3月のTVドラマでは「ハングリー!」「孤独のグルメ」と2本のグルメ・ドラマが放映された。直接、グルメをテーマにしていなくても、食…

高齢者世代の消費へのインパクト

NTT労組機関誌『あけぼの』2012年3月号 高齢者世代の消費へのインパクト 『平成23年版高齢社会白書』によれば、65歳以上の高齢人口と現役世代(15〜64歳の生産年齢人口)の比率は、2010年時点で2.8,2055年には1.3にまで低下すると予測されている。1人の高齢…

近未来のロボット活用社会

NTT労組機関誌『あけぼの』2012年2月号 近未来のロボット活用社会 年明け早々に封切った矢口史靖監督の『ロボジー』が快進撃を続けている。4週連続で独走していた『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』から首位を奪って初登場1位,士・日の…

幸せとは

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年12月号 幸せとは 鋳物の街・川口を舞台とする青春ドラマ『キューポラのある街』の最後の方で、主人公の女子中学生を演じる吉永小百合が、今でもグッとくる決めぜりふを言う。「一人が五歩進むよりも、十人が一歩ずつでも前に…

アメリカで広がる所得格差

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年11月号アメリカで広がる所得格差 ニューヨークはアメリカン・ドリームの象徴のような街だ。全米から,そして世界中から,人々は夢を抱いて,この地にやってきた。ニューヨーク在住日本人向けの,あるタウン誌の題名は,ドン…

格差拡大と雇用の二極化

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年10月号格差拡大と雇用の二極化 所得分配が平等化するパターンはいくつかのルートが考えられる。一つは、「貧困の平等」である。誰でもが等しく,平等に貧乏になる。国破れて,山河のみが残り,生活の荒廃が全士を覆うような…

年をとっても生産性が落ちるとはかぎらない

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年9月号年をとっても生産性が落ちるとはかぎらない「高齢者は相対的に生産性が低い」と、しばしば考えられている。しばしばどころか、ほとんど固定観念と言ってもよい。そこで,高齢化にはどうしても暗いイメージがつきまとう…

経済社会「新生」への課題

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年8月号 経済社会「新生」への課題 「良い暮らし指標(Better Life Index)」は,OECD (経済協力開発機構)創立50周年記念プロジエクトの柱の一つだ。所得,雇用,教育,環境などの幅広い生活分野を対象に,人々の暮らしの質を総…

日本の科学技術リテラシー

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年7月号日本の科学技術リテラシー 近年、科学技術と社会の関係を問い直す動きが活発である。1999年の「世界科学会議(ブタペスト会議)」が「社会における科学、社会のための科学」という理念を表明したことは画期的だ。その理念…

転換期の価値意識:競争と協調の両立への模索

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年6月号 転換期の価値意識:競争と協調の両立への模索 日本列島は今、周期的におとずれる「大地動乱の時代」(地震学者・石橋克彦氏の言葉)に入っていることがほぼ確実のようだ。「東日本大震災」は、地震学者の多くがかねてよ…

市場経済と資本主義の“毒抜き”

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年5月号市場経済と資本主義の“毒抜き”Globescan社が発表した国際世論調査の結果は興味深い。「自由市場経済は最善のシステムか」との設問ヘの回答結果は、国による違いこそあれ、総じて自由市場経済ヘの信認の揺らぎを示す。ハ…

蔓延する官公労組たたきの危険性

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年3・4月合併号蔓延する官公労組たたきの危険性:「新しい公共」の創出こそが急務 保守派の巻き返しに揺れる米国政局。保守系知事による公務員労組を標的とした反組合攻勢が米国労働界を震掘させている。ウィスコンシン州スコ…

資金余剰の使い道

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年2月号資金余剰の使い道 若者は就職氷河期に泣き、壮年者は賃下げ・リストラの恐怖におびえ、高齢者は福祉の薄情さを嘆く。一億総下向き社会の中で、唯一、企業の資金余剰のみが右肩上がりに推移している。1998年以来急拡大し…

子供たちの健康格差

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年12月・2011年1月号子供たちの健康格差福祉(welfare)は語源的にさかのぼると、肉体的な健康状態を意味していた。確かに、健康は幸福の根源であり、社会の安心・安定の最大の基盤だ。けれども、一方で、社会的なつながりの強さ…

ビッグマック指数に見る日本円、人民元の評価

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年11月号ビッグマック指数に見る日本円、人民元の評価英国の経済誌『エコノミスト』の冷徹な観察眼と辛口のユーモアには、いつも感心する。「通貨戦争」を特集のテーマとした10月16日号の表紙と記事も、そんな『エコノミスト』…

豊かさを決めるもの

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年10月号 豊かさを決めるもの 豊かさを求める心は、われわれの日々の暮らしの原動力である。豊かさは、一人ひとりの人生の希求であると同時に、その総和としての国民的生活水準の向上は、国政の最重要課題でもある。けれども、…

社会的価値に対する消費者の支持

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年9月号 社会的価値に対する消費者の支持 企業の「利益」と「社会的責任」は両立可能かわれわれの経済行動が自己利益極大化を図るホモ・エコノミクスを前提にして,よく説明できることは,たしかに真理をついている。しかし,…

組織再編成後の企業実態

NTT労組機関誌『あけぼの』2003年7月号 組織再編成後の企業実態 職場のモラールダウンを懸念 ―雇用の維持・拡大へ起業支援策を店をたたむ人がますます増え、地方都市の商店街のさびれぶりは、ますます目立つようになった。工場を閉じる話も頻繁に聞く。大企…

地域通貨とは

NTT労組機関誌『あけぼの』2003年2月号 地域通貨とは 地域コミュニティの再生へ 心のふれあう助け合いの通貨往年のNHK名作人形劇「ひょっこりひょうたん島」が近々リバイバルするそうだ。懐かしいなあと思って,情報を探ろうとネットで検索してみたら,ひょ…

不安列島からの脱却策

NTT労組機関誌『あけぼの』2002年7月号 不安列島からの脱却策 生活の閉塞感強まる今こそ 求められる労組の存在意義 渋谷や池袋の街角で,赤いベレー帽をかぶったガーディアン・エンジェルス(犯罪防止NPO)の若者たちの姿が目立つようになった。本家のニューヨ…

価格比較

NTT労組機関誌『あけぼの』2002年4月号 価格比較 ウェブ上の情報が消費者にも影響 長期的視点でのクールな観察必要 インターネット上に日々蓄積されていく膨大な情報の中で,実際に役に立つものを見つけるのは,実はそう簡単なことではない。そこでポータル…

岐路に立つアニメ産業

NTT労組機関誌『あけぼの』2002年3月号 岐路に立つアニメ産業 デジタル化対応への資金的余裕なし 産業基盤整備など公共政策の展開が不可欠 エンタテインメントを中心とするメディア・コンテンツ産業は,いまや米国の一人勝ち状態といわれ,とりわけこの分野…

国際化の胎動

NTT労組機関誌『あけぼの』2001年5月号 国際化の胎動 IT・キャラクターなど技術・文化輸出増加で 日本の特許収支が初めて黒字に せっかく回復しかけた景気も,踊り場から底割れに移行しつつあるとの観測が強まるにつれて,巷間では,「失われた10年」が再び…

人事処遇制度の改革

NTT労組機関誌『あけぼの』2000年12月号 人事処遇制度の改革 メンタルヘルスに与える影響考え 人間的配慮をはらった制度改革をいま足元の職場の状況をみれば,要員は減り,仕事の量は増え,質は高度化し,成果主義のもとで,きつさもまた増している。最近の…

ゼロ金利政策解除

NTT労組機関誌『あけぼの』2000年8月号 ゼロ金利政策解除 中央銀行の役割は“通貨価値の安定” 日銀はデフレ持続退治に尽力すべき投資銀行筋の観測によれば,国際金融の現状は,過去10年間でもっとも緩和基調にあるという。そうした金融政策をめぐる国際的動向…

日本経済も「捨てたものではない」

NTT労組機関誌『あけぼの』2000年4月号 日本経済も「捨てたものではない」 パソコン・iモードなどIT新時代の兆し プラス志向持った今後の選択がカギ 日本列島全体に「後ろ向き」症候群がはびこって久しい。80年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の自信過…

「雇用なき景気回復」の落し穴

NTT労組機関誌『あけぼの』1999年12月号 「雇用なき景気回復」の落し穴 生活水準の持続的向上の実現へ 安心社会への新たな発展の布石を日本経済も,ようやく景気の底入れから回復への転換局面にさしかかった。11月に発表された各調査機関の1999年度成長率予…

日本におけるコーポレート・ガバナンス

NTT労組機関誌『あけぼの』1999年7月号 日本におけるコーポレート・ガバナンス 労働者が経営参加できる制度的枠組みを強化発展させよ近ごろ,「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」という耳慣れない言葉が,しばしば新聞雑誌の経済欄や解説記事に登場する…

危機の克服から経済再生へ

NTT労組機関誌『あけぼの』1998年11月号 危機の克服から経済再生へ 悲観論に委縮せず前向きの対応を―積極的賃上げや減税で景気回復右を向いても,左をみても,景気の悪い話ばかりである。ものは売れない,もうけは出ない。出るのは,ためいきばかりなり。 日…

「進歩的政策」国際会議から

NTT労組機関誌『あけぼの』1998年9月号 「進歩的政策」国際会議から 問われる新たな市場統制形態―労働組合が政策形成の主体に「進歩的政策に関する国際会議」という,いささか風変わりな国際フォーラムがある。 日欧米を中心に労働組合ならびに労働組合に関…