経済産業動向

不況からどう脱出するか

NTT労組機関誌『あけぼの』1998年4月号 不況からどう脱出するか マネーゲームに終止符を打ち,現場からの“実業”の復権をイギリスの経済誌『エコノミスト』最近号は,「経済的機能不全に向けて迷走する」日本の現状に対して、同誌の伝統ともいえる、やや皮肉…

「情報ネットワーク社会」形成へ

NTT労組機関誌『あけぼの』1997年7月号 「情報ネットワーク社会」形成へ ―残されたキャッチアップ課題 日本の情報化の立ち遅れ回復という課題を、単に量的な、キャッチアップと捉えることには大いに問題がある。なぜなら、情報化が国民の暮らしや労働生活に…

生き残りかけた「大競争時代」

NTT労組機関誌『あけぼの』1997年3月号 生き残りかけた「大競争時代」 ―高能率・高賃金の成長経路を求めて 経済成長が大多数の国民の生活水準の向上に必ずしも結びつかなかったという反省をふまえて,アメリカでは「高い生活水準の下での国際競争力強化」が…

景気回復を確かなものに

NTT労組機関誌『あけぼの』1996年11月号 景気回復を確かなものに ―5%賃上げと所得税減税で軌道に 現在の日本経済には自律的景気回復力はあるものの、それはきわめて脆弱なものであって、もし政策を見誤れば、直ちに景気腰折れの危険が迫っている。自律的景気…

自信のわかない景気回復

NTT労組機関誌『あけぼの』1996年7月号 自信のわかない景気回復 ―ロング・バケーションはいつ終わる? 『ファイナンシャル・タイムズ』の6月19日日付けの社説は、日本経済の現局面を分析して、「こんなに手当てが必要な景気回復の『兆し』というのも珍しいだ…

高度情報化の光と影

NTT労組機関誌『あけぼの』1996年3月号 高度情報化の光と影 ―求められる国民のための情報通信の確立 大競争時代の中で、情報化投資は今後とも各国のサパイパルをかけて進行していくだろう。いま日本の産業界はパソコンを核にした情報通信革命、インターネッ…

ウィンテル体制の揺らぎ

NTT労組機関誌『あけぼの』1999年4月号 ウィンテル体制の揺らぎ独占体制の次に来るものは何か―いまLinux,プレイステーション2が熱い パソコン業界を長らく独占的に支配してきたマイクロソフトとインテルの一極体制(ウインテル)の揺らぎが,昨年来大きな話…

経済繁栄の中で進んだ格差拡大

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年11月号<経済・産業> 経済繁栄の中で進んだ格差拡大心やさしいけれど、ドジで不器用な旧型恋人ロボット小雪は,貧富の二極化が極限まで進んだ近未来の格差社会日本に「革命の夢」を紡ぎ出す。しかし,最後に彼女を待ってい…

“超"長時間労働と“超"短時間労働の希望と現実

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年10月号<経済・産業> “超"長時間労働と“超"短時間労働の希望と現実長時間と短時間という二極化の傾向を示す現実の労働時間。果たして,それは労働者の希望にかなったものなのか。シカゴ大学・山口一男教授の論文は,労働者…

小さな企業の多様な世界

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年9月号<経済・産業> 小さな企業の多様な世界日本は先進工業国の中でも,まれに見る中小企業大国である。しかも,日本の製造業の基盤となる精緻な中間財を生み出す企業も少なくない。まさに,日本の産業社会を支える存在であ…

ワーキング・リッチの興隆

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年3月号<経済・産業> ワーキング・リッチの興隆格差社会をめぐる論議は相変わらずホットな話題である。さまざまな論点が指摘され、新たな視点からの事実発見も相次いだ。揚げ足取りの口角飛泡論議はバブルのようなものだ。人…

日本の所得分配の現状 (1997年時点の紹介記事)

NTT労組機関誌『あけぼの』1997年12月号 <経済・産業> 日本の所得分配の現状地球規模の競争激化と経済構造の変化の中で、いかにして雇用の量と質を確保するかが、この間OECDや先進国首脳会議の場などでの経済政策論議の焦点のひとつとなってきた。雇用の量…

社会的協働作業としての統計調査

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年11月号 社会的協働作業としての統計調査 調査は,調査実施者と調査協力者の社会的協力関係で成り立っている。しかし,「回収率,が思うように伸びない」「調査協力者をうまく見つけられない」「協力する気持ちのある人がいて…

ケアワーカーの賃金実態

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年10月号 ケアワーカーの賃金実態 互いに助け合って生きていくことは人間社会の基本原理である。しかし、これまでの仕組みでは対応できない新しい現実も生じている。介護労働もそうした新しい現実の一つだ。介護に代表されるケ…

欧州におけるJ-POPの日常化

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年9月号 欧州におけるJ-POPの日常化 パリ郊外で開催された今年の「ジャパン・エキスポ」。来場者は16.4万人と,10年前の50倍にもなった。日本のポップカルチャーが世界の若者の心を捉えトレンドとなっていることが隆盛の背景に…

「クール・ジャパン」のクールとはいえない現状

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年7・8月号 「クール・ジャパン」のクールとはいえない現状 アジア・太平洋地域の約45%、世界市場の約1割を占める日本のコンテンツ産業。しかし、そのGDP比や海外の売上高などを見ると、アメリカにはるかに及ばず、グロー…

英国労働組合会議の底上げ戦略

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年6月号 英国労働組合会議の底上げ戦略政治の世界では、中道がメインストリームとなって久しい。中道の政治は「中流」を重要な支持基盤としており、政権の獲得・安定も「中流」層があってこそもたらされる。しかし、下院議員の…

新しい“公”の枠組み

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年5月号 新しい“公”の枠組み 今年3月、「政府だけでは解決できない社会的課題」を解決するための、新たな“公”の枠組みとして、労使、行政、NPOなどをメンバーとする「円卓会議」が設立された。これによって、複数の利害関係者…

子供たちにとってのワーク・ライフ・バランス

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年4月号 子供たちにとってのワーク・ライフ・バランス 子供の生活のゆとりを左右する要因は多様である。学校の授業時間が増えたからといって、それだけで必ずしもゆとりが減ずるとは限らない。むしろ、問題とされるべきは、「…

高齢社会の成長産業

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年3月号 高齢社会の成長産業昨年秋に封切られて以来、静かで深い感動を呼んできた話題作『おくりびと』(滝田洋二郎監督)が、第81回アカデミー賞で日本作品として初の外国語映画賞を受賞した。まさに快挙である。低予算でも立…

価格破壊が生む負の連鎖

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年5月号 価格破壊が生む負の連鎖 20年ほど前、価格破壊は新たな成長を生むと言う議論が流行した。しかし、デフレを経験して私たちが学んだことは、デフレは「誰にとっても良いことなし」の経済原則だった。回復基調にあると…

縮小を続ける中流の所得階層

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年4月号 縮小を続ける中流の所得階層一時期は「一億総中流階級」とさえ言われた日本の分厚い中流所得階層も、いまや傾向的な縮小過程に入っている。今のところは、極端な政治的不安定は生じていないように思えるが、長期不況化…

ドイツの「雇用の奇跡」から学ぶもの

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年3月号 ドイツの「雇用の奇跡」から学ぶもの世界同時不況の過程を通じた雇用維持の実績の中で、注目を集めているのがドイツの雇用政策だ。ドイツは、実質GDPが大幅なマイナスを記録しながら、失業率悪化はアメリカに比べ、は…

IT分野の人気と現実の大きなギャップ

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年2月号 IT分野の人気と現実の大きなギャップオリコンの「高校三年生に聞いた”将来やりたい仕事ランキング”によると、芸能系職業とならびlT職種がランクイン。別の調査でもIT職種の人気は高い。このほか、海外でも同様の傾…

労働組合組織率の上昇

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年1月号 労働組合組織率の上昇長期低落傾向が続いていた労働組合組織率が、1975年以来、34年ぶりに反転上昇を記録した。この背景にはパー卜労働組合員の着実な増加がある。とりわけ2006年以降の増加率はきわだち、ついに200…

コールセンターの雇用・労働問題

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年7・8月号 コールセンターの雇用・労働問題グローバル化とめまぐるしい情報技術の発展を受け、新しい労働世界の象徴として注目されているコールセンターだが、その注目は、光の部分だけでなく、むしろ労働者の立場から見れ…