ウィンテル体制の揺らぎ

NTT労組機関誌『あけぼの』1999年4月号

<経済・産業> ウィンテル体制の揺らぎ

独占体制の次に来るものは何か―いまLinuxプレイステーション2が熱い


パソコン業界を長らく独占的に支配してきたマイクロソフトインテルの一極体制(ウインテル)の揺らぎが,昨年来大きな話題となっている。もともとパソコン業界は変転常なき世界である。マイクロソフトの急進撃もインテルの驀進も,時間をさかのぼってみれば、揺らぐはずのないと思われたビッグ・ブルー(IBM)体制の間隙をついた逆転劇が事の発端であった。

iMacの発売以来のマッキントッシュの復活も,変わりつつある潮目の兆候のひとつである。そして,もうひとつ、もっと大きな台風の眼が登場した。インターネット・コミュニティの中で,ボランタリーな共同開発の成果として発展してきたフリーの基本ソフト,Linuxである。

一方,パソコンの心臓部CPUの分野でのインテルの支配の方はどうか。このところ,低価格パソコン用を中心に,AMDCyrixなどのインテル互換チップ・メーカーの健闘振りには眼を見張るものがある。さすがのインテルの価格支配力も衰えはじめたようだ。そして,この三月には,思わぬところから強力な対抗馬が出現した。ソニー東芝連合軍による,家庭用ゲーム機プレイステーションの新鋭モデル用MPU,「エモーショナル・エンジン」である。

インテル体制の次に来るものは何か。いまのところ誰にもそれは分からない。けれども,ひょっとしてプレイステーション2にLinuxを載せるのが流行りだすとしたら,ともかく楽しい幕開けにはなりそうである。


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その後,ウィンテル体制は崩壊するほどには揺らぎませんでしたが,PS2Linuxを載せることは,PS2 Linuxというディストリビューションが発売されることにより,一時期現実のものとなりました。けれども,PS2上でLinuxを走らせるには,さまざまな問題があることから,PS2 Linuxは販売中止となりました。結局,PS2Linuxを載せることは定着するにはいたりませんでした。次を参照。