転換期の価値意識:競争と協調の両立への模索

NTT労組機関誌『あけぼの』2011年6月号


転換期の価値意識:競争と協調の両立への模索


日本列島は今、周期的におとずれる「大地動乱の時代」(地震学者・石橋克彦氏の言葉)に入っていることがほぼ確実のようだ。「東日本大震災」は、地震学者の多くがかねてより警鐘を鳴らしてきたこの事実を、紛れもないものとして私たちに実感させた。

この地殻変動活性化の時代は、同時に、社会経済システムの大きな転換期とも重なっている。統計で捉えられる客観的な社会経済指標のみならず、人々の価値意識や心性もまた大きな変化の中にある。それは、近年の意識調査の多くが示すところだ。

最近、日本についての調査結果速報が発表された『世界価値観調査2010』(東京大学電通総研共同調査)も、人々の価値意識の変化に関して極めて興味深い事実発見を行なっている。今回の調査結果に表れた人々の意識傾向をあえてひと言で表現すると、相反する傾向の同時併存状況(アンビバレンス)ということになるだろう。

政策志向に関連して特に注目されるのは,競争は認めても平等志向は捨てず、環境や他者とのつながりの中で、共に生きることを求める人々の意識傾向である。それは、「大地動乱の時代」の日本列島に生きる知恵を指し示しているのかもしれない。


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