労働映画

ハルーン・ファロッキ『労働者は工場を去って行く』(1995)

リュミエール兄弟『工場の出口』上映から100年後の1995年に,ドイツのハルーン・ファロッキ監督は,『労働者は工場を去って行く』(Arbeiter verlassen die Fabrik)を世に問いました。この映画は,『工場の出口』へのオマージュともいえる作品で,冒頭と最…

最初の映画は労働映画だった(補足)

リュミエール兄弟の『工場の出口』は,映画における「演出」のはじまりという点でも注目されてきました。労働映画との関連では,次の記事(抜粋)が興味深い論点を指摘しています。 1.ペドロ・コスタ監督 映画美学校短期集中講義(2004/3/12〜14) ポルトガ…

最初の映画は労働映画だった

1895年12月28日,パリのグラン・カフェでのシネマトグラフ興業のポスター 映画を最初に発明したのは誰か,については諸説があります。単純に時期の点でいえば,1891年のエジソンによる「キネトスコープ」に軍配があがるでしょう。けれども,これは覗きからく…

初期労働映画4編

Youtubeでみつけた最初期の労働映画4編を紹介します。最小限の見出しだけつけておきましたが,いずれも暫定的なものです。労働史の専門家の詳しい説明がほしいところです。お気づきの点,コメント欄にご記入いただけたら幸甚です。 1.リュミエール兄弟 「…

能勢克男8mm映画全作品上映

1989年の第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭での『疎水』の上映以来,多くの人々を魅了しながら,作品上映の機会はごく限られていた幻の映像作家能勢克男*1。その8mm映画全作品31編を上映するという画期的な催しが,12月5日に立命館大学衣笠キャンパスで行…

大学における研究・教育と労働映画

アメリカでは,社会労働運動のサークルや,大学の研究・教育の中で,労働映画が資料・教材として盛んに活用されています。たとえば,下記のカリフォルニア大学バークレー校David Levine教授の講義はその一例です。 Lectures on Films About Work by Professo…

記録映画の製作主体とジャンル

記録映画の製作主体とジャンルについて考えてみました。いまだ粗雑な試論の域を出ませんが,覚書としておきます。 製作主体(スポンサーは誰か),想定される観客層(製作主体が訴えようとする対象),そして製作主体の製作意図を受けて作品を創造する映像作…

労働映画の操作的定義とその適用

久しぶりに労働映画について考えてみました。まず,労働映画とは何か。次のような操作的定義を出発点に考えてみてはどうかと思っています。 労働映画の定義(試案) 労働映画とは,記録映画,劇映画を含め,次の規準を満たす映像記録作品である。(1) 労働者…

犬も歩けば労働に当たる 第9回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第9回(2010年4月号) 鉄道労働者と蒸気機関車は当局の意図を離れて生き残った前回の終わりに、「映画とは、製作者の意図を超えていろいろなものを映し出す鏡なのだ」と書いた。今回はその続き。 映画は、初期…

犬も歩けば労働に当たる 第4回

『月刊連合』連載記事 犬も歩けば労働に当たる 第4回(2009年10月号) 現代日本の労働は海の外でどのように映っているのかいつのまにか「やまがた」が映画界のブランドになっていた。アカデミー賞をとった『おくりびと』をはじめ『たそがれ清兵衛』『わらび…

労働映画上映会について

これまでに、多くの有名・無名の映像作家たちが、日本の労働を記録した貴重な映像を残してくれています。けれども、それらを体系的に上映し、考察し、今日への示唆を探る作業は、これまで必ずしも十分に行われてきませんでした。わたしたちは、労働研究と映…

大衆文化の中の労働組合イメージ

連合総研『DIO』217号、2007年6月 大衆文化の中の労働組合イメージアカデミー賞の季節が終わるとトニー賞の季節がやってくる。最優秀ミュージカルの栄冠を手にするのはどの作品か?今年のノミネーション発表は5月15日、本番は6月10日。アメリカン・エンタテ…