視点

縮み思考を脱し,未来型投資で内需の深化・拡充を

(『DIO』No.235,2009年2月) 昔々,鎌倉時代の中期に,松下禅尼と呼ばれる良妻賢母の鏡のような女性がいた。日常,質素倹約に努め,無駄な金は一切使わない。執権北条時頼を甘縄第に迎えるに際し,みずから障子を補修したという逸話を残している。質素倹約…

科学技術の草の根を踏み固めよ

(NTT労組機関誌『あけぼの』、No.257、2007年2月号)科学技術の草の根を踏み固めよ 世界は苦渋に満ちている。そして、その度合いは、今日よりは明日の方がより重くなっていくかにみえる。マーフィーの法則に曰く、「さあ、にっこり笑って・・・少なくと…

涙もろい隣人に囲まれた社会的孤立

(『DIO』224号、2008年2月号) Patrasche: A Dog of Flanders, Made in Japan (2007) directed by An Van Dienderen & Didier Volckaert 「十人十色の幸せさがし」という名コピーとともに連合運動はスタートした。誰しもが幸せを願う。当然だ。けれども、簡…

労働組合からみた雇用政策の視点

(『勤労者福祉』、No.60、2001年2月) 労働組合からみた雇用政策の視点―持続可能な「柔軟性」 鈴木不二一安易な「雇用流動化」の勧めは危険であり、その効果は過大評価できない。日本の雇用システムは‘労働生産性の向上を可能にしてきたし、メリットは低下…

連帯の形を視ること

(『電通労連レポート』No.79、1984年8月号)昔々、情報労連(当時は電通労連といいました)の機関誌に書いたエッセイです。当時、この雑誌には、丸山巌さんという写真家が「フォト探索 秩父めぐり」という連載を掲載していました。その第1回は、有名な小鹿野…

日本経済の『ロングバケーション』は終わった

(『DIO』No.106, 1997年8月) 日本経済の『ロングバケーション』は終わったどうも今年に入ってからのテレビ番組は、ドラマもCMもさえない。定番メニュー的性格が強く、あまり世の中の動きを反映しないNHKの朝ドラ、大河ドラマを除くと、視聴率30%の大…

〈視点〉個人別交渉と団体交渉

(『DIO』No.101, 1997年3月)〈視点〉個人別交渉と団体交渉団体交渉とは、いうまでもなく、団体で行う交渉ではない。労働者が自ら選んだ代表が、労働者の集合的意思(collectivewill)を代表して、使用者あるいはその団体と雇用・労働条件に…

企業の中に社会の目を

(『DIO』No.230, 2008.09.01)<視点> 企業の中に社会の目を「日本の企業はリスクをとっていない、もっとリスクをとって株主に奉仕せよ」という声が、ますます高まりつつある。対日投資促進のためには、多様な展開をみせるM&Aの活発化が不可欠であり、…

大衆文化の中の労働組合イメージ

連合総研『DIO』217号、2007年6月 大衆文化の中の労働組合イメージアカデミー賞の季節が終わるとトニー賞の季節がやってくる。最優秀ミュージカルの栄冠を手にするのはどの作品か?今年のノミネーション発表は5月15日、本番は6月10日。アメリカン・エンタテ…

雇用ビックバンをいかに回避するか

連合総研機関誌『DIO』No.110 1997年12月 雇用サミット雑感 雇用ビックバンをいかに回避するか 11月29日、神戸で開催されていた雇用サミットが二日間の討議を終えた。95年のデトロイト・サミット、96年のリール・サミットに次いで三回目、今回からは…

「競争社会」と「平等社会」両立の模索

連合総研機関誌『DIO』No.121 1998年11月 「競争社会」と「平等社会」両立の模索 人々の価値観は、時代とともに変化する。また、それぞれの地域の歴史的伝統の影響もまた、価値観の形成の上で、無視しえない差異をもたらす。ところで、ある時、ある地域で、…

悲観の増幅はもうやめよう

連合総研機関誌『DIO』No.127 1999年5月 悲観の増幅はもうやめよう〜「日本人という躁鬱病」終止符を〜 文部省統計数理研究所の「国民性調査」第10次全国調査(1998/10実施)の単純集計結果が最近発表された。1953年に開始されて以来、5年毎に継続して実施…

「効率」の多面的理解を

連合総研機関誌『DIO』No.133 1999年11月 「効率」の多面的理解を--資本効率重視の落とし穴にはまらないために 「プリティ・ウーマン」(タッチストーン・ピクチャーズ、1990)という90年代の幕開けに世界中の人気をさらったラブ・ストーリーをご記憶だろうか…

調査研究と調査環境

連合総研機関誌『DIO』No.140 2000年6月 調査研究と調査環境 苦労して配布したアンケート調査を回収するときは、ドキドキする。回収率は期待のとおりになってくれるだろうか。設問の意味は正しく伝わっただろうか。うまくいく時もあれば、思いもかけない落と…

過小賃上げの持続はデフレのリスクを増幅する

連合総研機関誌『DIO』No.148 2001年3月 過小賃上げの持続はデフレのリスクを増幅する 最近、EUの労働関係研究機関のひとつ、「雇用と生活条件改善のための欧州基金」(The European Foundation for the Improvement of Living and Working Conditions)は、…

性急な非典型雇用拡大は人的資源の枯渇を招きかねない

連合総研機関誌『DIO』No.171 2003年4月 性急な非典型雇用拡大は人的資源の枯渇を招きかねない 19世紀半ばの工業化の始動以来、日本はスピードの国であった。イギリスが200年かけて達成したことをドイツがその半分で済ませれば、日本はそのまた半分で通り過…

懸念される所得階層の両極分解

連合総研機関誌『DIO』No.176 2003年10月 懸念される所得階層の両極分解 経済停滞が長引く中、日本の社会の安定と安心をおびやかす兆候が、ここかしこに現れてきている。1998年以来5年連続で3万人を超す自殺者、犯罪の急増、ホームレス人口の増大など、最近…

働き方の多様化と労働組合のニュー・モデル

連合総研機関誌『DIO』No.185 2004年7・8月 働き方の多様化と労働組合のニュー・モデル いわゆる非典型雇用が3割を超え、働き方の多様化がますます進展する中で、これに呼応して新しい労働組合の形を模索する動きが徐々に台頭しつつある。最近では、5月15日…

コンテンツ産業の人的基盤は大丈夫か

連合総研機関誌『DIO』No194 2005年5月 コンテンツ産業の人的基盤は大丈夫か 通信におけるブロードバンドの普及や、映像や音楽をいつでもどこでも楽しめるような各種端末機器の登場などによって、それらを満たすべき中身としての情報への欲求が加速度的に高…

健康な社会に健康な心身が宿る

連合総研機関誌『DIO』No203 2006年3月1日 健康な社会に健康な心身が宿る トリノ冬季五輪のオフィシャル・スポンサーにもなり、いまや世界的スポーツ用品ブランドに成長したアシックス(asics)の社名の由来は、ローマの風刺作家ユベナリスが残した名句「も…