能勢克男8mm映画全作品上映

1989年の第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭での『疎水』の上映以来,多くの人々を魅了しながら,作品上映の機会はごく限られていた幻の映像作家能勢克男*1。その8mm映画全作品31編を上映するという画期的な催しが,12月5日に立命館大学衣笠キャンパスで行われます。



能勢克男8mm映画全作品上映

       案内チラシはこちらから → 能勢克男8㎜映画全作品上映チラシ.pdf 直


主催:プロレタリア芸術研究会
協力:能勢協 
楽曲提供:シンフォニー宙、Dal Segno Records

日時:2010 年12 月5 日(日) 10:00 開場 10:45 上映
場所:立命館大学衣笠キャンパス充光館301教室
   衣笠キャンパス交通案内
   衣笠キャンパスマップ
参加費:入場無料・予約不要

能勢克男がつくった小型映画「疎水」ほか三十巻のフィルムは、特高警察、米占領軍の目をかいくぐり、長い風雪にたえて現存していることがわかった。
―岡本純『戦時下の日本映画〈第一部 戦前編〉』―

今回の上映企画では1936 年4 月に文化新聞『土曜日』を刊行しファシズムに対抗した知識人、能勢克男(1894〜1979)が制作した8ミリ映画全31 作品を初上映いたします。
能勢克男の活動は多岐にわたり、1920 年代における京都生活協同組合の代表として京都市民の暮らしに関わりながら、弁護士、評論家として戦後に至るまで精力的な活動を行いました。
その彼が夢中になったものこそ8ミリ映画制作であり、能勢克男は戦前京都の風景や家族の日常、戦後の社会を撮影し、独自の詩的な映像表現を示す自主製作映画を残しました。今回の上映では戦前の弾圧対象となった代表作『疎水』(1934)、日中戦争開戦前夜の知識人達を記録した『土曜日一周年』(1937)をはじめ、美学者中井正一と設立した映画団体シネフロント制作作品『季節の旗』(1934)、『京都』(1935)、晩年の境地を描いた『懐古主義者の京都アルバム』(1954)、『秋風安土』(1960)、『巣』(1964)のほか、家族との仲睦まじいホームムービー作品まで遺族により無事に保管された能勢克男の多彩な8 ミリ映画全31 作品を御覧になれます。どうぞご期待ください。(今回はVHS・DVD に変換された映像を上映します)


プログラム

  • 10:00   開場
  • 10:30  ―上映ガイド―
  • 10:45 ―第一部上映 ―
  • 12:30   休憩
  • 13:30 ―研究発表―
    • 【能勢克男の映画と現代】

発表者: 藤井祐介(中井正一研究会)
      佐藤 洋(早稲田大学大学院博士後期課程)

  • 14:30   休憩
  • 15:00 ―第二部上映―
    • 【『土曜日一周年』から晩年の作品へ】
  • 17:00   休憩
  • 17:30 ―第三部上映―
    • 【晩年のホームムービー】  
  • 18:30   終了


問い合わせ:立命館大学国際言語文化研究所
(Tel:075-465-8164  E-Mail: genbun@st.ritsumei.ac.jp)

*1:なお,いうまでもなく,能勢克男は,映像作家であると同時に,中井正一とともに『土曜日』の編集にあたり反ファシズム文化運動をになった思想家,京都における生協運動の先駆者,そして弁護士と,いくつもの顔を持っています。その多彩な業績と人となりは,例えば よい子の目と耳などを参照。