いま改めて賃金について考える
『労働経済旬報』No.1570(1996年10月下旬号),No.1572(1996年11月下旬号),No.1576(1997年1月下旬号)
いま改めて賃金について考える
「いまや日本経済の右肩上がりの成長が望めなくなった現在,もはや毎年賃金が上がるという常識は通用しなくなった」,「いまや日本の賃金水準は世界一となった。もはやこれ以上の賃上げがあれば国際競争力は維持できない」などなど,現在の賃金をめぐる論評の中にはこのような「いまや・・・もはや・・」で挟まれた悲観論的枕詞をよく見かける。なんとなくそうかなあと思いつつも,こうした議論の中でやり玉に上がっている「賃金」なるものは,現にわれわれが毎月手にしている「賃金」とはまるで縁遠い世界の出来事のように感じられている向きも多いのではあるまいか。いまや「賃金論」は,経済専門家,経営専門家の大所高所論の高みに安住の地をみつけて,日常茶飯の話題からは徐々に影が薄くなりつつあるかの感が否めない。
とはいえ,われわれはパンなくしては生きられず,そして賃金なくしてパンも買えないのであり,そうした生活の日常性の中での「賃金」が相変わらず重要な生活上の関心事であることも間違いない。そこで,ここでは,賃金問題をわれわれの日常の職業生活の視点から,あらためて考え直してみたい。
全文はここから →今改めて賃金について考える(上中下)(1996).pdf