2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

賃金傾向値表の意義

賃金傾向値表の意義 鈴木不二一 (2000年12月11日,未発表の覚書。)PDF版はこちらから → 賃金傾向値表の意義(改訂版).pdf 賃金傾向値表とは賃金傾向値表とは、性・学歴・年齢・勤続年数などの労働者の属性条件や産業、企業規模などの差異によって、賃金にどの…

春闘のふたつの顔:分権的交渉と集権的調整

(『JILリサーチ』No.29,1997年3月号,pp.10〜13.)春闘のふたつの顔:分権的交渉と集権的調整鈴木 不二一 はじめに 春闘は,「賃上げのための生活防衛の闘い」(1955年総評第6回定期大会春闘方針)としてスタートした。けれども,現在では,その要求課題は…

【書評】 『電気通信産業における仕事と雇用関係の再編』

『日本労働研究雑誌』No.456,1998年6月【書評】 H.カッツ編『電気通信産業における仕事と雇用関係の再編に関する国際比較』鈴木不二一ここ20年ほどの間に,電気通信産業の急激かつ大規模な構造変化が,世界中で進展している。多くの国々で,電気通信事業の…

【書評】 『労働組合の経営』

『日本労働研究雑誌』No.411,1994年5月号【書評】P.ウィルマン/T.モリス/B.アストン著 『労働組合の経営―サッチャー時代の財政改革と組織機構』 Cambridge University Press,1993年刊 労働組合はさまざまな顔を持つ。労働市場における「独占」の顔と企業内…

建設ラッシュのベルリン

建設ラッシュのベルリン ベルリン Mitte,Berliner Dom付近にて 2002年1月2日13:07

経済繁栄の中で進んだ格差拡大

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年11月号<経済・産業> 経済繁栄の中で進んだ格差拡大心やさしいけれど、ドジで不器用な旧型恋人ロボット小雪は,貧富の二極化が極限まで進んだ近未来の格差社会日本に「革命の夢」を紡ぎ出す。しかし,最後に彼女を待ってい…

“超"長時間労働と“超"短時間労働の希望と現実

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年10月号<経済・産業> “超"長時間労働と“超"短時間労働の希望と現実長時間と短時間という二極化の傾向を示す現実の労働時間。果たして,それは労働者の希望にかなったものなのか。シカゴ大学・山口一男教授の論文は,労働者…

小さな企業の多様な世界

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年9月号<経済・産業> 小さな企業の多様な世界日本は先進工業国の中でも,まれに見る中小企業大国である。しかも,日本の製造業の基盤となる精緻な中間財を生み出す企業も少なくない。まさに,日本の産業社会を支える存在であ…

ワーキング・リッチの興隆

NTT労組機関誌『あけぼの』2008年3月号<経済・産業> ワーキング・リッチの興隆格差社会をめぐる論議は相変わらずホットな話題である。さまざまな論点が指摘され、新たな視点からの事実発見も相次いだ。揚げ足取りの口角飛泡論議はバブルのようなものだ。人…

日本の所得分配の現状 (1997年時点の紹介記事)

NTT労組機関誌『あけぼの』1997年12月号 <経済・産業> 日本の所得分配の現状地球規模の競争激化と経済構造の変化の中で、いかにして雇用の量と質を確保するかが、この間OECDや先進国首脳会議の場などでの経済政策論議の焦点のひとつとなってきた。雇用の量…

両極分解の道を進むアメリカの所得分配

(『平和経済』No.411,1996年6月号)両極分解の道を進むアメリカの所得分配鈴木不二一 はじめに 多民族国家アメリカはもともと多様な国であった。極論する人は、天国もあれば地獄もあり、アメリカン・ドリームとスラム街が同時併存する振幅の大きさの中にこ…

夕景2題

千葉県習志野市茜浜 Mr Max 新習志野店前の交差点にて 2010年7月10日18:29 撮影者:RS ベルリン市シェーネベルクにて 2002年2月3日16:39

賃金処遇のこれまでとこれから(寄り道バージョン)

『賃金事情』No.2503,2006年8月5.20日号の「特別企画『賃金事情』2500号突破 記念企画 転換期の課題 - 働き方はどう変わるか 13のトピックスでみる“これまで”と“これから”」の中の「5 賃金処遇」を書きました。原文は,寄り道が多すぎたので,校正の時に余…

連帯のグローバル化と日本の労働組合の挑戦

(第11回ソーシャル・アジア・フォーラム「東アジアにおける労働市場と労働組合」報告論文。 2005年10月13日〜17日,台北市)連帯のグローバル化と日本の労働組合の挑戦 企業の社会的責任(CSR)への取組みを中心に 鈴木不二一国境を越えた労働者の連帯を組…

薔薇の花の中の蛙

薔薇の花の中に蛙がいます。 薔薇の花の部分を拡大すると・・・ ほーら,ね!カワイイでしょう。 撮影日時:2008年6月10日 撮影場所:埼玉県蓮田市 撮影者:O.A.

【書評】『よみがえれホワイトカラー』

(『平和経済』No.395,1995年1月号,pp.31-35)今野浩一郎監修・松下電器産業労組研究所連合支部最適労働プロジェクト編 『よみがえれホワイトカラー―挑戦意欲をかきたてる最適シナリオ―』 (1994年,工業調査会刊),271ページ,ISBN-10: 476936105X,ISBN…

いま改めて賃金について考える

『労働経済旬報』No.1570(1996年10月下旬号),No.1572(1996年11月下旬号),No.1576(1997年1月下旬号)いま改めて賃金について考える「いまや日本経済の右肩上がりの成長が望めなくなった現在,もはや毎年賃金が上がるという常識は通用しなくなった」,…

縦書きと横書き,どっちが早く読めるか

評者は,縦書きでも,横書きでも,どちらにも抵抗がありません。横書きも,左横書き(この文章のような)でも,右横書き(なうよの章文のこ)*1でも,どっちでもいけます。まだ,戦前の右横書きの印刷物や看板がかなり残っていた時代に育ったからです。 です…

横書きの句読点表記

赤間先生のブログの<横書きの句読点は「、。」か「,。」か「,.」か>を読んでいて,評者も昔は結構こういうことにこだわりがあり,ワープロの句読点はデフォールトの「、。」を「,.」に変更して使っていたことを思い出した。けれども,評者のまわりで…

社会的協働作業としての統計調査

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年11月号 社会的協働作業としての統計調査 調査は,調査実施者と調査協力者の社会的協力関係で成り立っている。しかし,「回収率,が思うように伸びない」「調査協力者をうまく見つけられない」「協力する気持ちのある人がいて…

ケアワーカーの賃金実態

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年10月号 ケアワーカーの賃金実態 互いに助け合って生きていくことは人間社会の基本原理である。しかし、これまでの仕組みでは対応できない新しい現実も生じている。介護労働もそうした新しい現実の一つだ。介護に代表されるケ…

欧州におけるJ-POPの日常化

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年9月号 欧州におけるJ-POPの日常化 パリ郊外で開催された今年の「ジャパン・エキスポ」。来場者は16.4万人と,10年前の50倍にもなった。日本のポップカルチャーが世界の若者の心を捉えトレンドとなっていることが隆盛の背景に…

「クール・ジャパン」のクールとはいえない現状

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年7・8月号 「クール・ジャパン」のクールとはいえない現状 アジア・太平洋地域の約45%、世界市場の約1割を占める日本のコンテンツ産業。しかし、そのGDP比や海外の売上高などを見ると、アメリカにはるかに及ばず、グロー…

英国労働組合会議の底上げ戦略

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年6月号 英国労働組合会議の底上げ戦略政治の世界では、中道がメインストリームとなって久しい。中道の政治は「中流」を重要な支持基盤としており、政権の獲得・安定も「中流」層があってこそもたらされる。しかし、下院議員の…

新しい“公”の枠組み

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年5月号 新しい“公”の枠組み 今年3月、「政府だけでは解決できない社会的課題」を解決するための、新たな“公”の枠組みとして、労使、行政、NPOなどをメンバーとする「円卓会議」が設立された。これによって、複数の利害関係者…

子供たちにとってのワーク・ライフ・バランス

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年4月号 子供たちにとってのワーク・ライフ・バランス 子供の生活のゆとりを左右する要因は多様である。学校の授業時間が増えたからといって、それだけで必ずしもゆとりが減ずるとは限らない。むしろ、問題とされるべきは、「…

高齢社会の成長産業

NTT労組機関誌『あけぼの』2009年3月号 高齢社会の成長産業昨年秋に封切られて以来、静かで深い感動を呼んできた話題作『おくりびと』(滝田洋二郎監督)が、第81回アカデミー賞で日本作品として初の外国語映画賞を受賞した。まさに快挙である。低予算でも立…

アメリカ労働組合と開発協力活動

初出:財団法人国際労働財団『欧米の労働組合と開発協力活動』(JILAF設立20周年記念出版、2009年4月)「第2章 アメリカ」、pp.37−57。アメリカ労働組合と開発協力活動アメリカ労働組合の国際協力活動は、主として、ナショナルセンターであるAFL-CIO(アメリ…

価格破壊が生む負の連鎖

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年5月号 価格破壊が生む負の連鎖 20年ほど前、価格破壊は新たな成長を生むと言う議論が流行した。しかし、デフレを経験して私たちが学んだことは、デフレは「誰にとっても良いことなし」の経済原則だった。回復基調にあると…

縮小を続ける中流の所得階層

NTT労組機関誌『あけぼの』2010年4月号 縮小を続ける中流の所得階層一時期は「一億総中流階級」とさえ言われた日本の分厚い中流所得階層も、いまや傾向的な縮小過程に入っている。今のところは、極端な政治的不安定は生じていないように思えるが、長期不況化…